前回は文字「情」の韻を漢和辞典で調べました。
その結果、文字「情」は平声(下平声)庚韻であることがわかりました。
今回は、文字「中」について同じ要領で漢和辞典を調べてみます。
「中」の字を調べてみる
角川の「字源」を使って「中」という字を調べると次のように出ています。
このとき赤い四角で囲まれている部分に注目します。「中」の文字は平声(上平声)東韻と去声送韻の二種類の韻を持っていることがわかります。
このとき、それぞれの韻の前に丸数字で(一)と(二)が付番されています。これは意味の部分の赤丸と対応しています。つまり、(一)「なか、うち」の意味の場合が東韻で、(二)「あたる、あつ」の意味の場合は送韻になることを表しています。
前回の「情」の文字は庚韻ひとつだけでしたが、今回の「中」の文字には二つの韻があり、しかもそれぞれ意味によって韻が異なることがわかりました。
このように漢字には韻がひとつだけの場合と、二つ以上の韻を持つ場合があります。
今回取り上げた「中」には、「東韻」と「送韻」があり、それぞれ意味によって使い分けがあることがわかりました。次回は、この複数の韻を持つ文字について、もう少し調べてみたいと思います。
今回のキーワード
字源,平声,上平声,下平声,去声,庚韻,東韻,送韻
今回の独習で使用したテキスト
簡野道明(著)(1955年)『増補 字源』角川書店
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