淡窓詩話(4)は、「孟浩然」についての論評です。
孟浩然が詩は、其才力遙に摩詰に劣れり。然れども、風神高邁の處は、殆ど王を憑凌せり。是れ千古王孟を以て並べ稱する所以なり。
孟は五言に長して七言に長ぜず。王が諸體具足するに如かず。其風神は淵明に近し。但し「具
レ體而微」とや云はん。
孟が五律、古詩を以て律體とするもの多し。「挂
レ席幾千里」
(「晩泊二潯陽一望二爐峰一」挂レ席幾千里。名山都未レ逢。泊レ舟潯陽郭。始見香爐峰。嘗讀二遠公傅一。永懷二塵外蹤一。東林精舎近。日暮但聞鐘。)。「挂
レ席東南望」
(「舟中曉望」挂レ席東南望。青山水國遙。舳艫爭二利涉一。來往任二風潮一。問レ我今何適。天台訪二石橋一。坐看霞色曉。疑是赤城標。)の二篇の如き、人或はこれを以て古詩とするものは非なり。古調を以て律體を作ること、孟が獨得の妙なり。若し古詩とすれば、律體に近くして古を朱へり。律とすれば、古色ありて賞すべし。其他の詩も皆古意を帶びたり。是れ孟が陶に亞
(ツ)ぎ王に配する所以なり。