滄洲詩話【漢詩作法入門講座】
滄洲
(そうしゅう)
が漢詩を勉強する過程で分かったことや、中国古典に関する話題、その他興味のあることを「詩話」形式で綴った日記です。
2012年6月10日日曜日
淡窓詩話(10)
淡窓詩話(10)、(9)の続きです。
予詩を推敲するに就て、悟入したることあり。予が父は俳諧を好めり。其話に、或人生海鼠
(ナマコ)
の句を作りて曰はく、「板敷に下女取り落す生海鼠哉」。師の曰く、「善しと雖も、道具多きに過ぐ。再考すべし」と。乃ち改めて曰はく、「板敷に取り落したる生海鼠哉」。師の曰はく、「甚だ善し。然れども猶ほ未し」。其人苦吟すれども、得ること能はず。師乃ち改めて曰はく、「取り落し取り落したる生海鼠哉」と。予此話を聞きて、大に推敲の旨を得ることを覺ゆ。是も亦悟の一端なり。
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