久しぶりに、漢詩漢文の基礎について独習します。
独習の前回、前々回と二回に渡り「声母・韻母・声調と韻(詩韻)の関係について独習してみた」と題して独習しました。
その前回の最後は以下のようになっています。
その結果、一二五三年に金の平陽県で刊行された『韻略』は、韻の数を百七韻としました。この韻書は刊行地名から「平水韻」と呼ばれました。その後、さらに一韻減少して百六韻となり現在に到っています。
この「平水韻」による韻が「詩韻」と呼ばれ、私たちが使用している漢和辞典に掲載されている韻になります。また、漢詩の作詩に使用する韻も、この平水韻を使用します。
次回は、この「平水韻」について、独習したいと思います。
さて今回は、その予告を受けて「平水韻」について、独習します。
平水韻について
漢字は一文字ごとに「韻」を持っていることは、すでに学習しました。そして「平水韻」には韻のグループが百六(韻)あることも学習しました。
それぞれの韻には、漢字一文字の名称が付いています。例えば、「中」や「空」は「東韻」、「天」や「前」は「先韻」、「木」や「竹」は「屋韻」といった具合です。
さて、 この百六韻をさらにグループ化することができます。それが声調を表す「四声」です。この「四声」には、それぞれ「平声」、「上声」、「去声」、「入声」があります。このうち「平声」に属する漢字の数が他の三声に比較して多いので、さらに二つに分けて、「上平声」(上平)と「下平声」(下平)と呼びます。この分類は漢字数が多いので便宜的に分けただけで、それ以上の意味はありません。
さらに、この「四声」は二つのグループに分けられます。これを「平仄」と呼びます。この「平仄」は「平声」あるいは単に「平」と「仄声」あるいは単に「仄」と呼ばれる二つに分類したものです。「平声」はそのまま「平声」単独のグループで、残りの三声が「仄声」のグループになります。
これをまとめると平水韻(百六韻)は以下のようにグループ分けされます(韻字の左側の数字は覚えるときのために付された便宜的な数字で、辞典などでは漢数字で表記されています)。
平声
上平声
1東 2冬 3江 4支 5微 6魚 7虞 8斉 9佳 10灰 11真 12文 13元 14寒 15刪
下平声
1先 2蕭 3肴 4豪 5歌 6麻 7陽 8庚 9青 10蒸 11尤 12侵 13覃 14塩 15咸
上声
1董 2腫 3講 4紙 5尾 6語 7麌 8薺 9蟹 10賄 11軫 12吻 13阮 14旱 15潸
16銑 17篠 18巧 19皓 20哿 21馬 22養 23梗 24迥 25有 26寝 27感 28琰 29豏
去声
1送 2宋 3絳 4寘 5未 6御 7遇 8霽 9泰 10卦 11隊 12震 13問 14願 15翰
16諌 17霰 18嘯 19効 20号 21箇 22禡 23漾 24敬 25径 26宥 27沁 28勘 29艶 30陥
入声
1屋 2沃 3覚 4質 5物 6月 7曷 8黠 9屑 10薬 11陌 12錫 13職 14緝 15合
16葉 17洽
ここまで、独習してきた平水韻を詩韻とも呼び、漢詩を作る際にはとても重要な意味を持ちます。また、元々「韻書」は、漢詩を含む「韻文」を作るときの参考書です。
次回の独習は、平水韻を中心とした「韻書」と「漢和辞典」の関係について学びたいと思います。
今回のキーワード
平水韻,韻,百六韻,四声,平声,上声,去声,入声,上平声,下平声,平仄,平声,仄声
今回の独習で使用したテキスト
小川環樹・西田太一郎・赤塚忠(編)(1968年)『新字源』角川書店
今回の独習で参考にしたサイト
『漢詩作法入門講座』(URL:http://kansi.info/)
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