2019年2月10日日曜日

『三体詩』より「南荘の春晩」(李群玉)

【訓読文】

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【作者】

李羣玉(りぐんぎょく)=(808〜862)。唐代の詩人。字は、文山。

【書き下し文】

南荘(なんそう)の春晩(しゅんばん)

草(くさ)暖(あたた)かに 沙(すな)長(なが)くして 去舟(きょしゅう)を望(のぞ)めば。微茫(びぼう)たる 煙浪(えんろう) 巴丘(はきゅう)に向(むか)う。

沅湘(げんしょう) 寂寂(せきせき)として 春(はる)帰(かえ)り尽()く。水(みず)緑(みどり)に 蘋(ひん)香(かんば)しうして 人(ひと)、自(おの)ずから愁(うれ)う。

【語釈】

  • 南莊=南の方角に別荘。
  • 春晩=春のおわり。晩春に同じ。
  • 草暖=春の日で暖かな草。
  • 沙長=はるか長い岸辺の砂浜。
  • 去舟=去り行く舟。
  • 微茫=かすかではっきりしないさま。模糊に同じ。
  • 烟浪=もやがたちこめた水面。煙波に同じ。
  • 巴丘=地名。巴陵、岳州。現在の湖南省岳陽市。
  • 沅湘=沅水と湘水の二川。
  • 寂寂=さびしいさま。また、静かなさま。寂如、寂然に同じ。
  • 蘋香=うきくさが香しい。蘋は、多年生水草。白い花をつけるので白蘋ともいう。また、緑蘋の語あり。


では、次の記事で、また、お会いしましょう。
失礼します。

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