【平仄】
さて、前回調べた平仄を白黒丸で表現すれば、上のようになります。今回は、各句について形式上の点を見ていきます。
【同字重出を忌む】
- 最初に起句と承句に出てくる「溪(渓)」の文字です。近体の七言絶句の規約の一つに「同字重出を忌む」ということがあります。規約からすれば、この詩は違反していることになります。
- ただ、近体が出来上がったのは唐代と言われていますので、儘このような規約違反は数多くあります。
- また、規約違反を重々承知の上で敢えて他の文字に置き換えることができないので、同字重出となっている作品もあります。
- しかし、我々初心の者は、そうした先人の作を軽々に真似ても良い作品になりませんから、やはり「同字重出は忌む」という規約は活きていると考えています。
【句中対】
- 次に同じ起句と承句に出てくる次の部分に注目してみます。
(起句) 柳 短 莎 長
(承句) 雨 微 烟 暝
- この部分は「柳短」と「莎長」、「雨微」と「烟暝」の部分がそれぞれ「対句」になっています。このように一句の中で対句を用いることを「句中対」と呼びます。
- この場合はどちらも主従関係の熟語、「柳が短い」と「莎が長い」、「雨が微か」、「烟が暝い」と考えれば同じ構成の熟語となります。
- 対句を考えるときは、この熟語の構成が同じであることが大切です。
- また、意味も対(ペアと考えればいいでしょうか)になっています。
- 句中対を使った詩は、とても調子が良いものがおおいです。
- 「酔月吟花」「花落人空」「蝶舞花繁」「清風名月」「山川草木」など多くの例があります。
【重言(双字)】
- 最後に転句の「閃閃」についてです。これは「閃」の繰り返し使われていて、「畳語」「双字」「重語」「重言」と呼ばれています。
- 「重言」の熟語は、「朦朦(月のおぼろなさま)」「冥冥(くらいさま)」「年年(まいねん)」「炎炎(熱気の強い)」など状態を表す言葉が多くあります。
- また、「喃喃(つばめの鳴き声)」「惺惺(うぐいすの鳴き声)」「啾啾(むしの鳴き声)」など音を表す言葉も多くあります。
では、次の記事で、また、お会いしましょう。
失礼します。
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