2019年2月8日金曜日

『三体詩』より「李渤に寄す」(張籍)

【訓読文】

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【作者】

張藉(ちょうせき)=(約767~約830)。唐代の詩人。字は、文昌。

【書き下し文】

李渤(りぼつ)に寄()す

五渡渓頭(ごとけいとう) 躑躅(てきちょく)紅(くれない)なり。嵩陽寺裏(すうようじり) 講時(こうじ)の鐘(かね)。

春山(しゅんざん) 処処(しょしょ) 行()きて応(まさ)に好()かるべし。一月(いちげつ) 花(はな)を看()て 幾峰(いくほう)にか到(いた)る。

【語釈】

  • 李渤=中唐の詩人。(?〜831年)。字は澹之。若くして嵩山の少室山に隠棲し、少室山人と号す。
  • 五渡溪=嵩山にある渓の名称。五渡溪頭は、「五渡溪の頭(ほとり)」と訓むことが一般的である。
  • 躑躅=つつじ。羊が毒性のあるツツジを食べてもがき、うずくまって死んだことから「躑躅」と呼ばれるようになったという言伝えがある。杜鵑華、山石榴とも呼ぶ。
  • 嵩陽寺=北魏の時代に建造された寺の名前。現在の嵩陽書院。嵩山周辺は、日本でも有名な「少林寺」なども含めた、「”天地の中央”にある登封の史跡群」として世界遺産となっている。嵩陽寺裏は、「嵩陽寺の裏(うち)」と訓むのが一般的である。
  • 講時鐘=高僧が説法するときに鳴らし知らせる鐘。講鐘に同じ。
  • 處處=いたるところ。
  • 幾峰=嵩山は、中国河南省登封市にある山岳群であり、最高峰は太室山の標高1,440m。注に「嵩陽に三十六峰有り」と書かれているが、嵩陽は嵩山の西に位置する少室山のことと思われる。


では、次の記事で、また、お会いしましょう。
失礼します。

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