2019年2月5日火曜日

「作詩講義」より「実字と虚字」

今回は『作詩講義』田口義治著の中から「実字と虚字」の項目を掲載します。

「作詩講義」の「第五 字法」の「1、字は詩句の元素」の最初の項目が「実字と虚字」です。

「實字と虛字」
字には實字がある、虛字がある、山川草木日月風雨などの實形あるものは實字である、 去來多少焉哉也乎のやうに、實形の存せざるものは、虛字である、 詩作には實字も虛字も一方に偏することなく、適當に安排すべきである、 且字は詩句の元素をなすものなれば、元素たる字の使用が拙劣であれば、 妙句佳作をみることは出來ない、況んや絕句の如きは、 僅々二十字か二十八字を以て、題意を發揮するものであれば、 一字たりとも無駄に使ふことを避け、能く働かしむやうにせねばならぬ、

「作詩講義」(田口義治著)より

【余説】

「一字たりとも無駄に使ふことを避け、能く働かしむやうにせねばならぬ、」とは、常に心掛ける必要があります。つい、これでいいか、と思ってしまう自分を戒める言葉です。

実字と虚字の定義は、実は色々あるようで、ここにあるような「実形」と「そうでないもの」という分類以外に、文法的な立場からの分類もあります。ここでは、「呂山草堂詩話 第三輯」に掲載されている「創作の立場からの対句法」での分類を挙げておきます。

  • 実字」日本文法の体言・西洋文法の名詞に相当
  • 虚字」用言または動詞・形容詞に当たる
  • 助字」上記以外の副詞・接続詞・助動詞・前置詞その他に当たる

と出ており、この分類が一番しっくりきているので、現在ではこの方法に基づいて学んでいます。

「三体詩」の「実接」と「虚接」を考えるときも、この「実字」と「虚字」を意識するようにしています。「実にして虚」「虚にして実」などということが解説されていますが、まずは、「実字」と「虚字」で考える方が創作の立場からはわかりやすいように思います。


では、次の記事で、また、お会いしましょう。
失礼します。

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