2018年12月23日日曜日

『三体詩』より 「竹枝詞」(李渉)

【訓読文】

クリックすると別ウィンドウでSVG画像を表示します

【作者】

李渉(りしょう)=(773?~831?)。中唐の詩人。清谿子と号した。なお、書籍によっては晩唐の詩人に分類されていることもある。

【書き下し文】

竹枝詞(ちくしし)

十二峰頭(じゅうにほうとう) 月(つき)、低()れんと欲(ほっ)す。空舲灘上(くうれいたんじょう)に 子規(しき)啼()く。

孤舟(こしゅう) 一夜(いちや) 東帰(とうき)の客(かく)。泣()いて春風(しゅんぷう)に向()かって 建渓(けんけい)を憶(おも)う。

【語釈】

竹枝詞=歌の一体。土地の風俗等を上品に表現し、正しい節で歌えるように作ったもの。唐の劉禹錫に始まる。現在では、土地の風俗などを詠じた詩題として使われることが多い。十二峰頭=巫山十二峰とも言う。巫山は四川省巫山県の東にある名山。代表的なものに神女峰がある。月欲低=月が沈もうとしている。空舲灘=崆岭灘(こうれいたん)の故名か。灘は浅瀬。なお、現在は三峡ダムが建設され往時の状況とはかなり違っているようだ。子規=ほととぎす。孤舟=一艘の小舟。東帰客=東に帰り行く旅人。建渓=川の名。福建省を流れる閩江(びんこう)の支流。


では、次の記事で、また、お会いしましょう。
失礼します。

0 件のコメント:

コメントを投稿