2017年10月11日水曜日

操觚字訣(そうこじけつ)

『操觚字訣』とは、伊藤東涯の草稿をその子伊藤東所が編纂した同訓異義の漢字の用法を説明した漢語字書である。

 

今回は、その最初に掲載されている​「有」と「在」の説明部分を『操觚字訣』より引用する。ただし、原文の「也」を「なり」に、「いへば」を「いえば」などに改めている。また、原文に掲載されている例文については省略している。なお、拙の浅学故の読み誤りの可能性が大であることをご容赦頂ければ幸いです。

2017年8月9日水曜日

漢和辞典で詩韻を調べるー実例(2)

前回は​『唐詩選に収録されている「張九齡」の五言絶句「照鏡見白髮」の詩韻を漢和辞典で調べた。今回は、その詩韻を「四声」 と「平仄」の面から調べてみる。

原文  照鏡見白髮宿 昔 青 雲 志蹉 跎 白 髮 年誰 知 明 鏡 裏形 影 自 相 憐
読み方  鏡に照らして白髮を見る宿昔 青雲の志、蹉跎たり 白髮の年。誰か知らん 明鏡の裏、形影 自ら相憐れまんとは。

2017年7月26日水曜日

漢和辞典で詩韻を調べるー実例(1)

今回は​『唐詩選にも収録されている「張九齡」の五言絶句「照鏡見白髮」の詩韻を調べてみます。ただし、ここでは詩の意味や作者の詳細については割愛します。詳しい説明は参考書やネット上にもたくさんありますから、ぜひ、調べてみてください。

原文  照鏡見白髮宿 昔 青 雲 志蹉 跎 白 髮 年誰 知 明 鏡 裏形 影 自 相 憐
読み方  鏡に照らして白髮を見る宿昔 青雲の志、蹉跎たり 白髮の年。誰か知らん 明鏡の裏、形影 自ら相憐れまんとは。

2017年6月26日月曜日

漢和辞典で詩韻を調べる(3)

前回は文字「中」の韻を漢和辞典で調べました。

その結果、文字「中」は平声(上平声)東韻の場合と去声)送韻の場合があることがわかりました。

文字「中」ー『字源』より

このようにひとつの文字が二つ以上の韻を持つ文字を両韻文字あるいは単に両韻と言います。

今回は、同じ両韻文字でも前回の「中」とは、少し異なる文字「看」について同じ要領で漢和辞典を調べてみます。

2017年6月25日日曜日

漢和辞典で詩韻を調べる(2)

前回は文字「情」の韻を漢和辞典で調べました。

その結果、文字「情」は平声(下平声)庚韻であることがわかりました。

今回は、文字「中」について同じ要領で漢和辞典を調べてみます。

2017年6月23日金曜日

漢和辞典で詩韻を調べる(1)

まとめたら更新しよう、もう少し調べてから更新しよう、などと考えてばかりで、結局疎懶にして更新できない状況が続いています。

これでは、何時になっても更新はできないと反省し、まずは、僅かばかりでも更新をすることにしました。

今回は、私の手元にある角川の漢和辞典「字源」を使って韻の調べ方を学習します。

2017年5月18日木曜日

平水韻について独習してみた

久しぶりに、漢詩漢文の基礎について独習します。

独習の前回前々回と二回に渡り「声母・韻母・声調と韻(詩韻)の関係について独習してみた」と題して独習しました。

その前回の最後は以下のようになっています。

その結果、一二五三年に金の平陽県で刊行された『韻略』は、韻の数を百七韻としました。この韻書は刊行地名から「平水韻」と呼ばれました。その後、さらに一韻減少して百六韻となり現在に到っています。

この「平水韻」による韻が「詩韻」と呼ばれ、私たちが使用している漢和辞典に掲載されている韻になります。また、漢詩の作詩に使用する韻も、この平水韻を使用します。

次回は、この「平水韻」について、独習したいと思います。

さて今回は、その予告を受けて「平水韻」について、独習します。

2017年5月9日火曜日

呂山草堂詩話より

今回は『呂山草堂詩話 第三輯』の中から一部分を抄出し、学習の方法について考えてみます。

2017年5月4日木曜日

淡窓詩話(其一)まとめ

三回に分けて掲載した最初の問い、

○長允文問 詩ヲ學ブニハ。諸體何レヲ先ニ學ビ。何レヲ後ニスベキヤ。

の部分をまとめました。

2017年5月1日月曜日

淡窓詩話(其一之三)

前回取り上げた『淡窓詩話』の続きです(原文の画像は、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を参考にしてください)。

前回の質問は、

○長允文問 詩ヲ學ブニハ。諸體何レヲ先ニ學ビ。何レヲ後ニスベキヤ。

でした。今回は、この質問への回答の最後の部分になります。

2017年4月27日木曜日

淡窓詩話(其一之二)

前回取り上げた『淡窓詩話』の続きです(原文の画像は、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を参考にしてください)。

前回の質問は、

○長允文問 詩ヲ學ブニハ。諸體何レヲ先ニ學ビ。何レヲ後ニスベキヤ。

でした。

2017年4月24日月曜日

淡窓詩話(其一)

今回は漢文の学習を一休みして、詩話の中でも有名な『淡窓詩話』を取り上げます(原文の画像は、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を参考にしてください)。上下、全二巻。

淡窓詩話』は、「広瀬淡窓」が門下生の問いに答えて、詩の本質、作詩の方法や心得、詩の味わい方などについて語ったものを、養子、「広瀬青邨」が明治初年に編集したものです。

作者略伝
広瀬淡窓(ひろせ-たんそう)=(1782-1856) 江戸後期の儒者・漢詩人・教育家。豊後国日田の人。名は簡、のち建。字は廉卿、のち子基。淡窓と号す。1817年豊後日田郡堀田村に私塾、咸宜園(かんぎえん)を開き、敬天を旨とする教育を行う。門下に高野長英・大村益次郎・長三洲等を輩出す。安政3年(1856)歿、75才。

なお、漢字については漢字コード(UTF-8)で表現できる範囲で原文のままとしています。

2017年4月17日月曜日

声母・韻母・声調と韻(詩韻)の関係について独習してみた(承前)

前回の独習で、「」とは韻母の「介音」を除いた残りの部分と「声調」の組み合わせであることを学習しました。

韻=【主母音+韻尾】/声調

また、「韻書」と呼ばれる書物の存在と「切韻」、「中古音」、「切韻音系」などの言葉、さらには「韻」のことを「詩韻」とも呼ぶことを紹介したところまでを独習しました。

今回は、この「韻書」について、もう少し独習を進めてみたいと思います。

2017年4月9日日曜日

声母・韻母・声調と韻(詩韻)の関係について独習してみた

四月、新年度に入った途端、例年になく稼業が多忙を極め、心身の疲弊甚だしく、独習の更新も侭ならぬ今日この頃です。

桜の花も見頃を迎えているというのに観桜も出来ず悶々とした日々を過ごしていますが、何とか今宵こそは独習して遺悶したいものです(疲れのせいか頭も悪く日本語がおかしい気もしますが、ご容赦ください)。

これまで、声母韻母声調について独習しましたが、今回はその音節構造と韻(詩韻)の関係について独習してみます。

2017年4月1日土曜日

字音・声母・韻母・声調など字音について独習してみた(承前)

前回、声母(子音)韻母(母音)について独習しました。しかし、四種類の漢字「媽」、「麻」、「馬」、「罵」は、すべて同じ「ma」と表記されてしまいます。ただし、それぞれの漢字は、意味が異なります。つまり、声母(子音)と韻母(母音)だけでは、その違いを表現することができないことになります。

これは日本語においても同様のことが起こります。例えば「橋」と「箸」は、いずれも「ハシ」ですが、そのアクセントにより違いを表現します。このアクセントのように発声に関わる声の調子のことを「声調」と言います。

今回は、この「声調」について独習します。

2017年3月29日水曜日

字音・声母・韻母・声調など字音について独習してみた

中国語入門などのテキストを読むと、『中国語の漢字1文字は1音節から構成されています』と書かれています。その1音節(漢字音)は、子音母音から次のように構成されていることが記述されています。

子音+母音+(子音)

これは、発音についての学習で多くの中国語入門テキストに説明されているので、詳しくはそちらをご覧ください。

今回は、これらを音韻学(漢字の音韻を研究する学問)と呼ばれる学問での分類に従った、「声母」、「韻母」、「声調」の言葉について独習します。

[声母][韻母][声調]

2017年3月23日木曜日

白文、訓読文、書き下し文の違いと漢字表記(新字体と旧字体)について

ここでは、主に「白文」、「訓読文」、「書き下し文(読み下し文)」の違いと、漢字の新字体旧字体について独習(本サイトの作者である滄洲が学習するので「独習」という言葉を使うことにしました)します。なお、今回の独習に使用する漢文(漢詩)は、これまで何度か登場した李白の「静夜思」です。

2017年3月19日日曜日

「漢文とは何か」(其の八)〜「音訓」から「訓読」への道程

「漢文とは何か」(其の二)〜漢文は中国語なのか?』において、「漢文とは」の答えとして『漢文入門』(前野直彬;筑摩書房)の定義を採用しました。

「漢文」とは中国の古典的な文を、中国語を使わずに、直接日本語として読んだ場合、その文に対してつけられた名称である。

また、「日本語として読む」ことを「訓読」と呼ぶことも勉強しました。さらには、「漢文」の原文を構成する漢字の音訓についても学習しました。

では、これだけで「漢文」を「訓読」することができるようになるのでしょうか?まだ、「訓読」に必要な「返り点」や「再読文字」などについても学習しなければ、当然読むことはできませんが、それ以前に漢字の「音訓」の勉強をしても、まだまだ読むためには準備がいるみたいです。

2017年3月17日金曜日

「漢文とは何か」(其の七)〜漢字の「音訓」の正体(4)

これまで「音読み」、「訓読み」の初歩的な事柄について学習しました。「音読み」では、中国語の発音が訛ったものであること、また、中国語としての発声法(声調)である四声を表現できないことなどがわかりました。

一方、「訓読み」は「やまとことば」であり、中国語の意味を表す「読み」もあれば、全く意味の違う「国訓」や和製漢字である「国字」などがあることがわかりました。

今回は、「訓読み」について、もう少し学習してみました。なお、『漢字の「音訓」の正体』という仰々しい題の学習は今回が最終回です。

2017年3月13日月曜日

「漢文とは何か」(其の六)〜漢字の「音訓」の正体(3)

前回までに「音読み」と「訓読み」の初歩について学びました。前々回では『「漢文とは何か」(其の四)〜漢字の「音訓」の正体(1)』と題して「音読み」が中国語の発音が訛ったものであることを学びました。

今回は、この「音読み」の初歩からもう少し範囲を広げて学んでみたいと思います。

2017年3月10日金曜日

「漢文とは何か」(其の五)〜漢字の「音訓」の正体(2)

『漢字の「音訓」の正体』などと大げさな題で、実はその内容は「音読み」の初歩でした。まだ「音読み」については、もう少し学ばなければならないことがあるのですが、今は先に「訓読み」の初歩について調べてみます。

2017年3月9日木曜日

「漢文とは何か」(其の四)〜漢字の「音訓」の正体(1)

漢文を読む場合、私たちは中国語で発音することなく、日本語として読む「訓読」を行い、その対象となる文を漢文と呼ぶことを勉強しました。

日本語で読む以上、当然ながら中国語の発音で読む訳ではありません。では、中国語の発音は全く無関係でしょうか?

ここまでの「漢文とは何か」と題する記述の流れから、中国語の発音が無関係でないことは予測できると思います。それが漢字の「音訓」、すなわち「音読み」と「訓読み」です。今回は、このうち「音読み」について勉強することにします。

2017年3月7日火曜日

「漢文とは何か」(其の三)〜漢文を読む?

前回、前野直彬先生の『漢文入門』(筑摩書房)の定義を引用して「漢文」の定義を勉強しました。ここで、もう一度引用しておきましょう。

「漢文」とは中国の古典的な文を、中国語を使わずに、直接日本語として読んだ場合、その文に対してつけられた名称である。

そして、この「日本語として読む」ことを「訓読」と呼ぶことも勉強しました。今回は、この「読む」、つまり「訓読」について、もう少し勉強してみます。

2017年3月6日月曜日

「漢文とは何か」(其の二)〜漢文は中国語なのか?

前回は、

「漢文とは何か」(其の一)〜日本と中国で「漢文」の意味が異なる?

と題して、日本と中国で「漢文」の意味が異なることを勉強しました。今回は、漢文は中国語なのでしょうか、もし、中国語だとするならば漢文を読むということは、中国語を読むことなのでしょうか?今回は、「漢文は中国語なのか?」ということについて勉強しました。

2017年3月5日日曜日

「漢文とは何か」(其の一)〜日本と中国で「漢文」の意味が異なる?

このブログのタイトルである「趣味の漢詩漢文」の「漢詩」や「漢文」という単語が指す言葉の意味は何となくイメージとしては分かるという人が一般的ではないでしょうか。

実際、私自身も改めて「漢詩とは」あるいは「漢文とは」を説明してくださいと言われるとうまく説明する自信はありません。

つまり、「漢詩とは何か」「漢文とは何か」ということが、漠然とは認知していても、正確には理解していない私自身の勉強不足の表れということです。
そこで、初心に戻って「漢文とは何か」を勉強してみることにしました。

2017年3月4日土曜日

はじめまして。趣味で漢詩を作ったり、漢文を読んだりしている滄洲です。

はじめまして。趣味で漢詩を作ったり、漢文を読んだりしている滄洲です。

私自身は、中国文学の専門家でもなく、また、そうした教育も中学・高校の古典の授業ぐらいで、理系に進み、仕事も完全理系の仕事でした。つまり、漢詩漢文に関しては、俗に言う、「素人」と呼ばれる者です。

このブログでは、そんな滄洲(私の号です)の「漢詩の作り方」や「漢文の読み方」などに関することを書いていく予定です。