【訓読文】
【作者】
雍陶(ようとう)=(789〜?)。唐代の人。古代文学(詩経)の研究者と伝えられる。字は国鈞。
【書き下し文】
孫明府(そんめいふ)が旧山(きゅうざん)を懐(おも)うに和(わ)す
五柳先生(ごりゅうせんせい) 本(もと)、山(やま)に在(あ)り。偶然(ぐうぜん) 客(かく)と為(な)って 人間(じんかん)に落(お)つ。
秋来(しゅうらい) 月(つき)を見(み)て 帰思(きし)多(おお)し。自(みずか)ら起(た)って 籠(かご)を開(ひら)いて 白鷴(はくかん)を放(はな)つ。
【語釈】
- 和孫明府懷舊山=孫明府は伝未詳。明府は、県令の尊称。孫明府が作詩した「懷舊山」という漢詩に和した作品、これを和韻という。和韻は、同一の韻を用いて詩を作る。このとき、元の詩と同一の韻字を同じ配置で用いるものを「次韻」、同一の韻字を用いるが配置には元の詩と異なるものを「用韻」、韻のみ同一で韻字が異なるものを「依韻」と呼ぶ。
- 五柳先生=陶淵明が書いた「五柳先生伝」に因み陶淵明のことを指す。ここでは孫明府を陶淵明に例えて表現したもの。
- 爲客=客は旅人。
- 人間=「じんかん」と訓ず。人の世。俗世間。
- 秋來=秋になる。
- 歸思=ここでは本いた山に帰りたいという思い。
- 白鷴=キジ科の鳥。キジに似た鳥で雄は尾が長く、胴体は白、顔は赤い。「白鷴は釋文に、形雉に似て白し、華文ありて尾長し」とあり。
では、次の記事で、また、お会いしましょう。
失礼します。
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