2019年1月4日金曜日

『三体詩』より「箏を弾ずる人に贈る」(温庭筠)

【訓読文】

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【作者】

温庭筠(おんていいん)=(812〜?)。晩唐の詩人。字は飛卿(ひけい)。李商隠とともに「温李」と呼ばれる。

【読み下し文】

箏(そう)を弾(だん)ずる人(ひと)に贈(おく)る

天宝(てんぽう)年中(ねんじゅう) 玉皇(ぎょくこう)に事(つか)う。曽(かつ)て新曲(しんきょく)を将(もっ)て 寧王(ねいおう)に教(おし)う。

鈿蝉(てんせん) 金雁(きんがん) 皆(みな)、零落(れいらく)す。一曲(いっきょく)の伊州(いしゅう) 涙(なみだ)、万行(ばんこう)。

【語釈】

=そう。「こと」と訓む方が分かりやすく、実際「こと」と書き下しているものが多い。瑟に似た竹製の楽器。箏は、柱(じ)と呼ばれる可動式の支柱で弦の音程を調節するのに対し、琴は、弦を押さえる場所で音程を決める。箏と琴は別の楽器であり、日本では箏の当て字として「琴」を用いることが多い。天寳年中=天宝は、唐の玄宗の年号(742〜756)。天宝の時代のとき。事玉皇=事は仕える。玉皇は、天子のこと。ここでは玄宗をさす。寧王=玄宗の兄である寧王・李憲。鈿蟬=蝉をかたどった飾り。鈿は「かんざし」。金雁=黄金でできた箏柱。柱の形あるいは並べた形が雁に似ていることから言う。零落=草木がかれしぼむこと。草が枯れることを零、木が枯れることを落という。転じて、落ちぶれてさびしいこと。伊州=曲名。涙萬行=涙がとめどなく溢れ、流れること。


では、次の記事で、また、お会いしましょう。
失礼します。

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