前回は、漢詩(七言絶句)の規則として二四不同・二六対・一三五不論を学びました。今回は、一三五不論に関わるその他の規則について学びます。
最初に、平仄式の下三字に注目しましょう。
起句と結句の下三字の平仄は同じですから、一三五不論で、「仄仄平(●●○)」あるいは「平仄平(○●○)」となります。また、転句は「平平仄(○○●)」あるいは「仄平仄(●○●)」となります。
問題は承句の下三字です。平仄式では五文字が「仄」で固定され、一三五不論の規則が適用されていません。もし、「仄」ではなく、「平」が許されているのであれば、下三字の平仄は「平平平(○○○)」となるはずです。
実は、この平が三文字連続することが許されないのです。さらに七言絶句仄起式では起こりませんが、まだ、紹介していない平起式では仄が三文字連続する可能性の部分があります。この場合も同様に許されていません。
これを下三連不許といい、下の三文字が連続して「平平平(○○○)」あるいは「仄仄仄(●●●)」となることが許されません。そのため、承句の五文字目は「仄」に固定されることになります。
次に、三文字目から五文字目に注目しましょう。
この場合は、四文字目の平仄が固定されています。まずは、承句と転句の三文字目から五文字目までの平仄についての組み合わせは、承句が「仄仄仄(●●●)」と「平仄仄(○●●)」、転句が「仄仄平(●●○)」「仄仄仄(●●●)」「平仄平(○●○)」「平仄仄(○●●)」の六通りが考えられます。
このとき「仄仄仄(●●●)」と三連がありますが、これは下三連ではありませんから、問題ありません。また、その他の組み合わせも問題なく一三五不論の規則も通用します。
問題になるのは平仄式が同じ起句と結句です。ここでの平仄の組み合わせは「平平仄(○○●)」「平平平(○○○)」「仄平仄(●○●)」「仄平平(●○○)」の四通りです。
ここでの「平平平(○○○)」も、先程と同様に下三連ではありませんから、問題ありません。
問題になるのは、「仄平仄(●○●)」の組み合わせです。このように四字目が、その前後を仄字で挟まれて孤立しているものを「孤平」といいます。
七言絶句では「四字目の孤平」は許されません。これを「四字目の孤平不許」あるいは単に「孤平不許」といいます。
そのため三文字目の記号が
のとき五文字目は三文字目が「平」ならば「仄」、「仄」ならば「平」となるようにして四文字目の孤平を避けることを意味して、
白黒が逆の記号で平仄を表しています。
さて、これまでの漢詩の規則を挙げると、七言絶句仄起式では、
- 第一二四句(起句・承句・結句)の七文字目は押韻する
- 二四不同(二文字目と四文字目の平仄は異なる)
- 二六対(二文字目と六文字目の平仄は同じになる)
- 一三五不論(一・三・五文字目の平仄は問わない)
- ただし、下三連不許(下の三文字が連続して平・仄になることは許されない)
- 孤平不許(四文字目の孤平は許されない)
となります。平仄式を覚えてしまえば、最低限「一三五不論」「下三連不許」「孤平不許」の三点に気をつければ良いことになります。
さて、これで平仄に関しての規則は一通り学びました。後は、まだ紹介していない「平起式」の平仄式と、平仄以外のいくつかの規則を残すのみとなりました。あと少しで七言絶句を作詩するための規則の学習がゴールとなります。
では、次の記事で、また、お会いしましょう。
失礼します。
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