2019年1月31日木曜日

漢詩の規則〜同字重出を避ける

これまで何度も登場していますが、今回も『三体詩』の第1首目「華清宮(杜常)」を取り上げます。

この詩はいろいろと議論の多い詩であり、作者も唐代ではなく宋の時代の人であるとか、また、承句が「暁星残月入華清」とか、あるいは、起承の二句が全く違うものまであります。

今回は、そうした議論ではなく、漢詩の規則の一つについて見ていくために、この「華清宮」の詩を取り上げました。

まず、押韻についてはどちらも「程・清・声」の三字で、いずれも庚韻の文字です。また、平仄も、これまで学んできた「七言絶句仄起式」の平仄式に従っており、一三五不論、二四不同、二六対も守られています。さらに下三連もありません。

ただ、まだ学習していない規則があり、そこに違いがあります。

一般に多く取り上げられている方の詩では、「風」「入」の文字が二回出てきます。これが今回の規則に関わる部分です。

同字重出は避ける

つまり、一首のうちで同じ文字を二度使うことは避けるということになります。ただし、「日日」「処処」などの畳字や、「水潺湲日斜」の「自」や「上有歸不得」の「山」のように一句中の同字は問題になりません。

この規約だけから見ると、「一別家山・・・」の詩の方が規約として良い詩となります。ただ、同字重出となっている作品がすべて規約違反だから駄目な作品というわけではありません。実際、同字重出となっている優れた詩は数多くあります。しかし、そうした作品の同字重出を私のような初心の者が漫ろに模倣すべきことではないと思っています。

さて、これで平仄式に基づく規則は次のようになります。

  • 規則一   韻を踏む
  • 規則二   一三五不論
  • 規則三   孤平不許
  • 規則四   下三連不許
  • 規則五   同字重出を避ける

あれ?、「二四不同」と「二六対」はどこへ?と思われるかもしれませんが、大原則である「平仄式」では「二四六分明」といい、容易に変え難いところであるからで、それに従えば必ず「二四不同」と「二六対」となります。

ここまでで基本的な規則は出てきました。他にも規則はありますが、まずはここまでの基本をしっかり学んで、それから次の段階に進みたいと思います。


では、次の記事で、また、お会いしましょう。
失礼します。

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