2019年1月6日日曜日

『三体詩』より「曲江春望」(唐彦謙)

【訓読文】

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【作者】

唐彦謙(とうげんけん)=(?〜?)。晩唐の詩人。字は茂業。

【書き下し文】

曲江(きょくこう)春望(しゅんぼう)

杏艶(きょうえん) 桃嬌(とうきょう) 晩霞(ばんか)を奪(うば)う。楽遊(らくゆう) 廟(びょう)無()くして 年華(ねんか)有()り。

漢朝(かんちょう)の冠蓋(かんがい) 皆()な陵墓(りょうぼ)。十里(じゅうり)の宜春(ぎしゅん)下苑(かえん)の花(はな)。

【語釈】

曲江=池の名称。曲江池。漢の武帝が都の長安(現在の陝西省西安市)に宜春苑をつくり、水流が之(し)の字の形に曲折しているので名付けた。現在、周辺は西安曲江池遺跡公園となっている。春望=春のながめ。杏艶桃嬌=杏や桃の花があでやか美しい。嬌艶は、なまめかしい、あでやか。奪晩霞=晩霞は、ゆうやけ。ゆうばえ。杏や桃の花があでやか美しく、夕映えにも勝るの意。樂遊無廟=漢の宣帝のとき、長安に建てられた庭園を樂遊苑といい、その近くに建てられた廟を樂遊廟という。有年華=年華は、つきひ。年光、年月に同じ。年月が通り過ぎたということ。漢朝=王朝の名。劉邦(漢の高祖)が秦を滅ぼして建てた国。都は長安。冠蓋=使者のかんむりや馬車のおおい。転じて、高位高官の人をいう。陵墓=墓のこと。十里=苑の広きことをいう。宜春下苑=宜春苑の別名。


では、次の記事で、また、お会いしましょう。
失礼します。

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